「発注者業務調査」のすすめ(第1回)
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社団法人長崎県建設業協会
会長 谷村隆三
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− 発注者・受注者間のパートナーシップ向上のために−
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現代風の居酒屋で、彼女と一緒に食事をした。終わりに勘定書にアンケートが添えられていた。「お値段は? 高い・普通・安い」「味は? 美味い・普通・まずい」「サービスは? いい・普通・悪い」などなど。
なるほど、ISO9001の資格を取るとき勉強したPDCA(計画・実行・分析・改善)をやっているんだなと思った。うまくこれが機能すれば、きっとこの店も繁盛するだろう。
公共工事をやっている皆さんも、PDCAを続けてこられたと思う。社内での内部分析と共に重要なのは、外部の評価結果だ。
工事竣功検査における「工事成績評定」「現場施工体制点検」がこれにあたる。工事成績評定書は「施工体制」「施工状況」「出来形及び品質」「出来ばえ」などの項目からなり、この結果をもとに受注者は改善・教育を進め、総合技術の向上を図っている。自分たちだけでの分析は、なかなかこれがうまく行かない。
国交省も全国建設業協会も「発注者責任」「発注者と施工者のパートナーシップ」を課題としている。良好なパートナーシップが結果としていい品質を達成し、職員教育にもつながり、国民の期待に応えられると判断しているからだ。
現在その具体的なものとして「発注者、コンサルタント、受注者の三者協議」「ワンデイレスポンス」などが上げられているが、いずれもコミュニケーションの問題であり、このままではかけ声倒れに終わりかねない。コミュニケーション以外の問題も複雑に絡んでいるからだ。
評点が高い工事は、品質が優れていることは当然ながら、「発注者・担当監督員」と「受注者・現場担当者」の意思疎通も円滑で、共に優良な公共物を作り上げるパートナーとして協力し、技術の研鑚をしあっていると思われる。また利益の面でもいい結果であることは経験として感じてきたことだ。
逆に言えば双方の良好な関係を促進することは、高品質の成果物を得、また職員教育など人的能力の向上につながる一助と言える。
長崎県建設業協会は発注者の皆様の協力を得ながら、受注者から見た工事請負契約の、「契約の内容」「契約の履行」と「担当監督員の業務」の結果について評価し、データの集積・統計・分析を行うシステムを作成した。前年度分から随時実施していく予定だ。
この結果は私たちの自己評価・改善に内部活用できるだけでなく、発注者の監理監督業務の向上にも役に立つ情報を提供できると期待している。
(続く 質問お問い合わせはmaster@ngsk-kenkyou.or.jp)
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